【3月のライオン】アニメ全話感想【18話更新】

3月のライオン

大好きな漫画「3月のライオン」のアニメがNHKで放送スタートしました。

全国どこでも見られるNHKという環境に加えて、海羽野チカ先生のふんわりした作風とシャフトさんの鋭利なイメージがどのように融合するのか楽しみに待ってました。

原作既読なので展開は分かっていますが音楽や声がついた川本三姉妹と零や二階堂などの個性あふれる棋士たちの活躍に目が離せません。

これからアニメの感想を各話ずつ全話ぶん記録していこうと思います。放送後に少しずつ追記していきます。

私は将棋にはまったく疎く完全な個人ブログのためかなりゆる~い感想になります。各話の感想は前半パートと後半パートに分けていますので楽しんでいただけたら幸いです。

もくじの各話をタップorクリックするとスーッとその話数の個別感想に飛べます。

※ネタバレ注意です。

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原作漫画「3月のライオン」

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3月のライオン アニメ全話感想

1話の感想

桐山零

シャフトさんと聞いて大丈夫かななんて思った私が間違いでした。OPから冒頭にかけて3月のライオンの雰囲気をのままのプロの仕事に感動。

義理の父親を前に難くなる零ちゃんに少しハラハラしました。前半のゆっくりペースでじっくりと零ちゃんの現状を描写していて、ここを退屈だと思ったら継続視聴は厳しいかもしれません。

零ちゃんの携帯がスマホじゃないところがまたいいですね。連載がはじまった2007年はまだガラケーの人が多かったはず。

そして川本3姉妹出たー!牛乳のプリンにテンションが上がるモモちゃんがリアル幼女声でにんまり。中の人は成人女性(久野美咲さん)ですがオンリーワンな声質です。

あかりさん(茅野愛衣さん)もひなちゃん(花澤香菜さん)も声ぴったり。川本家の昭和な感じのする内装も原作のまんまです。

海沿いの町

まだこの時は零ちゃんが棋士であることはひなたは知らなかったんですよね。部活の試合だということになっていて、そういえばそうでした。原作を読み返さないと。

擬音(?)まで原作に忠実で思わず笑顔になってしまいます。猫の伸び伸びした身体つきとか、食卓の風景とか、今すぐ川本家に遊びに行きたくなりました。

闇を抱えた零ちゃん(河西健吾さん)はあまりしゃべりませんでしたが、ぼそぼそとした話し方には何かを抱えている少年のような青年のような、17歳という危うい感じがうまく表現されていてとてもお上手でした。まさに光り輝く闇のような声。

なのに朝ひなちゃんにつられて声が大きくなってみたり、学校に行こうかなと思ってみたり、人は一緒に過ごすまわりの人に影響される生き物なんですね。

零ちゃんを見守ってくれている林田先生の優しげな癒しボイス(櫻井孝宏さん)川本家のおじいちゃんもまんまあのおじいちゃんでした。モモちゃんに鼻の下を伸ばす幸せな姿がすてきです。

そしてラストに二階堂がチラリズム!というわけで1話は素晴らしスタートダッシュだったと思います。

二階堂は本当にいいキャラしてますよね。中の人(岡本信彦さん)も将棋の腕前は相当なものだそうです。

2話の感想

あかり

1話の引きの通りに二海堂が絶好調。ノリノリのスタートでした(笑)零ちゃんの自称親友いや心友の二海堂と零ちゃんのやりとりがコミカルで楽しかった。

二海堂、エレベーターにガッションガッション挟まれてます、しかも防犯カメラに映ってます。結局この押しの強さに負けて自宅に二海堂を入れるしかなすすべがなくて、膝を抱えて小さくなっている零ちゃんがなんだかかわいい。

零はこういうはちゃめちゃ系の人にふりまわされる図が妙に似合います。

街並みや風景もリアル。一砂さんの勢いに引きぎみの零ちゃん。だけど将棋となるとやはりプロ。一筋縄ではいかない零はやはり15歳でプロ入りしただけはあります。一砂さんの声優さんはドラえもんでジャイアン役の人ですが、熱さと勢いは同じです。

スミスさんの中の人(杉田智和さん)は海羽野先生の前作の「はちみつとクローバー」のアニメでは真山を演じていた人です。相変わらず落ち着いた上品な声ですね。

銀座の高級なお店で働くあかりさんはとても奇麗。あのバストの破壊力はすごくて、女の私でもついつい見てしまいます。

橋の向こう

川本家でご飯を食べることに遠慮がある零ちゃん。他人の家に入り込むということには、義理の両親の家庭にいたあの経験からも戸惑いがちです。

慣れない街や一人暮らしに緊張していた零ですが、知っている人ができた途端に三月町に色がついたように見えます。

あかりさんはいつでもご飯を食べにおいでと言ってくれましたが、本当かな…とぐるぐる考える零ちゃん。いつでもおいでと言われてホイホイ行ける性格なら零ちゃんもこんなに闇を抱えることはなかったでしょう。

自分のみっともないところを全部最初に見られているから、あかりさんには逆らえない零。もうとりつくろえないわけです。

川本家の食卓を見たら、まんまとから揚げが食べたくなった2話。この時点でまだ川本家のことは零ちゃんも分かっていない状態。

「誰かいたほうが」と小さくつぶやくあかりさんの声が夜の闇に溶けていって静かで切なかった。零ちゃんもまた過去に家族を失っていて、その喪失感は川本家と似たものなのでしょう。

3月のライオンはやっぱり人の再生の物語なんだなあとじんわりしました。

3話の感想

晴信

この時間にから揚げは辛い。食べたい。コンビニに走りそうになる衝動をぐっと我慢です。

二海堂とは小さいころから良き対戦相手、ライバルとして戦いお互いプロになってからは初対局。普段はそうでもなくても零ちゃんも思うところはあるはずです。

全国大会も常連なので顔なじみになるとかは、スポーツなどの競技と同じ。体調を気遣う零ちゃん。二海堂の「負けたくない」という声にならない叫び。

自分と同じようにどうしようもなく勝ちたいという気持ちで戦ってきた零と二海堂。幼少期からのライバルが大人になってからも同じ土俵で戦うというこの感じ。

病気による体力差というハンデを物ともせず闘う幼い姿と、負けた時に見せた大粒の涙に、熱いものがこみ上げてきました。

プロになるということは、もう決して止まらない、二度と降りられない電車に飛び乗るということ。転がり落ちるまでずっと。勝負の世界であがき続けることになる零と二海堂。

誰!?みたいな凛々しくもむっちりとした表情で待ちうける二海堂の熱さと勢いに、ひるんでる場合じゃないよ零ちゃん!と思わず応援したくなります。

おもしろそうに見守っているスミスさんや一砂も楽しげでいいですね。にやりと笑う口元なんかも原作の漫画の通りの線です。こういう細かいところもそっくりそのまま。

そして夜まで続いた対局に、とうとう決着がつきます。二海堂の「負けました」と絞り出すような言葉とその悔しげな表情は、あのデパートの屋上での対戦からまったく変わっていませんでした。きっと零ちゃんの表情も。

花岡さんが世界一周から帰ってきてくれて良かった…。不整脈は危ないよ!気をつけて花岡さんっ

決意の表情を見せた二海堂はかっこよかったです。

夜空の向こう

送り盆にあわせて川本家に訪れる零。ぐずるモモちゃんは、なんとなく寂しげで心細げなあかりさん達のしんみりした雰囲気を察したのかな。そう思うと切ないですね。

皆の前では泣けなくてひとり川辺で号泣するひなちゃん。あかりさんと一緒に川本家を守ってきたひなちゃんですが、まだ14歳の中学生。

お母さんに甘えたい気持ちや恋しく思う気持ちは当然あるものの我慢することも多かったに違いありません。

姉であるあかりさんがひとりで必死に頑張っているのを見て、これまで年相応のわがままだって言えなかったはず。

零ちゃんはそんなひなに声をかけられなかったけれど、ただ一緒にそこにいるだけでいいこともあります。

失った家族を思って涙するひなたと、消えてしまった本当の家族のこと悲しいから頭から追い出してしまい泣かなくなった零。

本当にそれで良かったのか。泣いてもどうしようもないからとあきらめることが正解だったのか。自問自答する零。

正解も不正解もない選択。隣り同士に並ぶ2人の頭上には、ただ美しい月が静かに優しく彼らを照らしていました。

くううう…!ひなちゃんの悲痛な泣き声と、だけど泣ける場所があって、そばにいてくれる人がいて良かったと思う気持ちで胸がいっぱいになってしまいました。

次回予告によるとモモちゃんとボドロ、じゃなくて二海堂が出会うんですね。原作ではモモちゃんが零ちゃんより二海堂になついているというのが個人的にはちょっとツボだったりします。

4話の感想

ひな

ひなちゃんが初恋の人高橋くんに作るお弁当のことで、あかりおねいちゃんと気まずくなってしまうあたりはごくごく普通の姉妹という感じで微笑ましかった。

「よその子」発言でモモちゃんが零ちゃんを自分のお兄ちゃんだと思っているところも。

結局お弁当を渡せなかったことで喧嘩していたひなちゃんとあかりさんが仲直りしたのが本日の涙腺刺激ポイントでした。

高橋くん、ちょっとだけ出ました!少年漫画の主人公っぽい。細谷さんはこういう真面目な好青年役に声がぴったりです。

お弁当は渡せなくて正解。犠牲になったにゃー達は大丈夫だったのでしょうか(笑)

ブイエス

モモちゃんと二海堂が初対面。初対面の子どもに抱きつかれようともまったく動じず手を引いてあげる二海堂が紳士すぎる。

二海堂が一方的に零ちゃんを親友扱いしていますが、零ちゃんにはこれくらい強引な同世代の友達兼ライバルがいるのはいいことなんじゃないかな。

零ちゃんが遠慮がちで他人の懐に飛び込んでいけるタイプじゃない以上、正反対の熱いタイプの二海堂がそばにいてくれるのはなんだか安心できます。やっぱりボケとつっこみは1セット。

あかりおねいちゃんの目がハートマークになっていて幸せそうでなにより。花岡さんのGPSにはもう何も言うまい。零ちゃんもつっこんじゃダメ!

三月堂のお菓子でみんなでお茶できる夜が素敵な第4話でした。高橋くんがしっかり話すのはもう少し後ですね。楽しみだな。

5話の感想

契約

零ちゃんの幸せだった幼少期が、ある日突然終わりをつげてしまう。昔のことが中心になるエピソードはどうしても辛く切なくなってしまう3月のライオン。

あのまま零ちゃんが実の家族と一緒に過ごしていたら、また違った雰囲気をまとった棋士としてその名を馳せていたかもしれません。

学校でも友達ができなかったけれど、家には温かい家族がいたから頑張れた。辛い時でもどこかひとつでも居場所があると自分を見失わずに済むんですよね。

モモちゃんの涙につられるように妹のことを思い出して涙する零ちゃんにつられて思わずうるうる…。

カッコーの巣の上で

大人なのに自分のことを対等に扱ってくれて、特別に好きだった実の父の友人に引きとられた零ちゃん。

幸田家の美しく激しい気性の香子。自分にはない自信や強さをもつ香子に、零ちゃんはどこか圧倒されて心惹かれていたのかもしれません。

自分で自分を説得しながら進んでいける人間じゃないとダメなんだ。

養父の言葉がずっしりと重く感じます。勝負の世界はみんなそうなのかもしれません。

勝負の世界だけでなく、この実社会においても自分で自分をケアできる人間が先へと進めるのでしょう。

着古したセーターをソーイングセットを買ってきて慣れない手つきでメンテナンスして大事そうに抱きしめる零ちゃんがいじらしい。

複雑な過去を抱えながら新たな人間関係を築いていく零ちゃん。川本3姉妹の出番が少な目だったので6話はたくさん出てきてほしいです。

どうやら次回は宗谷名人のお姿も拝見できるようです。将棋の神様!原作でもほとんどしゃべりませんが宗谷さんの声優さんってまだ未発表ですよね。

低くなくて浮世離れした感じのふわっとした声のイメージがありますが誰になるかなあ。

6話の感想

神様の子供1

どこかへ行きたいとつぶやくも、本当は行きたいところがあるわけではなくどこかへ行ってしまいたかった零。

学校でもひとりぼっちで先生以外に話せる人のいない零ちゃんとしては、どこかに居場所を求めていたのでしょう。

林田先生がオブラートに包まないセリフにぐさっときたり。でも愛があるから優しく響きます。

なんのために高校に入りなおしたのか分からないと言う林田先生。香子さんの冷たい言葉も辛辣でした。

自活できるようになればそこが居場所になると思ったけれど、負けが続いて停滞する零ちゃん。

自分のためだけに料理をするのは、ご飯を炊くことすらめんどくさくなってしまっています。分かるなあ。自分ひとりだとまあ適当でいっかという気持ちになりますよね。

神様の子供2

宗谷名人キター!10代のころから顔立ちも変わらずにずっと神様の子供として棋士の頂点に立っている宗谷さん。

今すべてのタイトルを保有している状態ということなので、零ちゃんと試合をすることも顔を合わせることもほとんどありません。

泳いで泳いで泳ぎ切って見つけた先から、またもう一度海へと飛び込んでいく勇気も理由も持てなくなった零ちゃん。

落ち込み気味な零にひなちゃんが「家においでよ」と励まします。なんて温かいお誘い。ああなんていい子なんだ…。ほろり。

そして満を持して、ひなちゃんの初恋の人高橋くんがガッツリ登場です。

ところでシェイクってもっちりしてて本当に美味しいですよね。あー飲みたくなってきた。

神様の子供3

エンディングに入ってまだ時間があったから「?」と思っていたらCパートがありました。

高橋くんと2人きりになってしまった零ちゃん。おたおたする零ちゃんに対して高橋くんは堂々としたもので、じーっとまっすぐに零ちゃんを見つめています。

ま、眩しい!このまっすぐな視線がまぶしすぎてクラクラします。

次回はようやく高橋くんがたくさん話してくれそうです。ひなちゃんの初恋の人がこんな素敵な青年(と言っても中学生だけど)でよかった。7話はまた二海堂も出るようで嬉しいです。

7話の感想

大切なもの。大切なこと。

頑張る理由がないことを言い訳にしてしまっていると自覚する零ちゃんの前には、およそ零ちゃんがこれまでの人生で一切関わることのなかったスポーツマンの高橋くん。

高橋くんは、中学でプロになりその後改めて高校に進学した零ちゃんの選択について、まっすぐな瞳で質問します。

逃げてしまったことが記憶に残っていると、踏ん張りどころで自分に自信が持てなくなってしまうから、逃げなかったという記憶がほしかった。

言葉を選びながら語る零ちゃんの言葉を、高橋くんはしっかりと受け止めてくれました。自分の真剣な思いを誰かに理解してもらえたということ。その喜びに零ちゃんも感動しています。前半だけでうるうるさせられた第7話。

ひなちゃんの初恋の相手が高橋くんで良かったです。こんなかっこいい幼馴染がいたら好きになりますね。明日の夜はカレーとからあげととろーり温泉卵に決まりでしょう。

その夜、とうとうひなちゃんとモモちゃんに棋士であることがバレた零ちゃん。解説の二海堂が案の定うるさいです(笑)膝を抱えている零ちゃんがスネててかわいい。

潔いのと投げやりは似ているけれど違う。もっと自分を大切にしてくれ!

解説者の立場を忘れて、熱いメッセージを送ってくる親友の二海堂に我慢できず爆発する零ちゃん。照れもあったでしょうが思わず大きな声を出してしまいます。

テレビ中継でつい熱くなって私的なメッセージを送ってしまったことで、二海堂があとで将棋連盟の偉い人とかに叱られてないといいな。

将棋おしえて

零の熱くなる姿を見てひなちゃんが将棋に興味を持ち、教えてあげることに。誰かに自分のいる世界について興味を持ってもらえることが嬉しい零ちゃん。今まではこういう事を話せる友達もいなかったわけですもんね。

遠慮がち(?)にすりよってきて川本家にまでくっついてくる二海堂が実はすごく面倒見が良くて指導者にも向いているんじゃ…と思ったら全部零ちゃんにブン投げました(笑)

マジメすぎて固すぎてぜんぜん分からない零ちゃんの説明に対して、二海堂持参の金にモノを言わせて作らせた将棋入門絵本がすばらしかったです。

そして突如歌い踊り出す絵本の中の将棋の駒のニャーたち。これが今回の特殊エンディングのようでびっくりしました。

このためだけに作られたんでしょうか。にゃー達がくるくる動いててすごかったです。シャフトさんやるなあ。

追記)と思っていたらダウンロード版が配信されました。正式な歌のタイトルは「ニャー将棋音頭」です。

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8話の感想

面影

二海堂の「将棋の絵本」が完全手作りで一家に1冊ほしいと思った人は正直多そう。公式からグッズにならないかな。なかなかいいお値段になりそうですが。

モモちゃんとひなちゃんが二海堂のことを尊敬していて大好きになっていくのも微笑ましいし、ちょっとやきもち(?)をやいている風な零ちゃんもまだまだ高校生という感じでかわいかったな。

またも途中から歌って踊り始めた将棋の駒のニャー達のあの独特のメロディーがクセになりそうです(笑)

親友いや心友として二海堂が零に関わっているのを見て、一砂さんや三角さんがほろっとしているのも良かった。

こんなにも熱い10代の友情を目の当たりにすると、大人は失くしてしまったものを思い出して目頭が熱くなるのかもしれません。

遠雷(1)

二海堂と零の関係に、まわりの先輩にほっこりしていたら香子さんキター!すっごい美声ですね。

これがCV井上麻理奈さんの力か。冷たくてかっこよくて寂しそうで気高くて香子さんにぴったりです。

嫌味を言うのを忘れずに零ちゃんの元を去っていくあたり、零に対する複雑な胸中と愛憎がないまぜになっていてちょっと怖かったです。

零の次の対戦相手は65歳の松永さん。40年間騎士として戦い続けてきたこの松永さんがまたいい味を出しているんですよね。

原作で大活躍の雷堂さんといい、こういううんと年上の先輩たちに振り回されるのが零ちゃんの宿命なのかも。

7話の次は1週間お休みだったので久しぶりの3月のライオンも楽しかったです。

9話の感想

遠雷(2)

香子義姉さんにチクリと嫌味を言われたまま、65歳、棋士歴40年の松永さんの対戦することになった零。

小さな升目を見つめ続けてその道40年の大ベテランを相手に、中学生で至上5人目となるプロ棋士になったエリートの零は何を思うのか。

試合前の神社で手を合わせる松永さんの後姿。40年という途方もない時間を棋士として戦い続ける彼もまたファイターです。

いったいどんな風格のある老紳士かと思いきや、思いっきり人間臭くてかわいらしくて憎めないおじいちゃんでした。

試合前におみくじとか引いちゃだめでしょー!零ちゃんも思ってたのと違う!とばかりに絶叫していたり、やはりライオンに出てくる棋士達は皆一筋縄ではいかない濃いキャラばかりです。

遠雷(3)

試合に負けても態度が悪かったり、40年の重みは今いずこな松永さんにひっぱられてうなぎをおごらされる零ちゃん。なんだかんだ年上にかわいがられるタイプなんですね。(なんか違う)

しかし松永さんはおちゃめなだけのおじいちゃんではありませんでした。零の美しく凛とした姿に死神を見るも、負けたくない、しがみつきたい、とあがく気持ちは失せないまま。

零に負けたら引退するという前言を撤回し、現役を続けると決めた松永さんの強さと粘りに、そして零ちゃんを前に流したあの40年分の涙に、ぐっとくるものがありました。

年齢が上がるにつれ体力勝負ともいわれる棋士たちの世界で、50代60代になっても第一線で戦うのは至難の業なのでしょう。

わずかな数名のトップ棋士の下には、各クラスでみっともなくあがきながらしがみついて、もがき続ける多くの棋士がいる。

内に秘めたる情熱を抱え一見スマートな外見で戦うエリート棋士もいいですが、松永さんのような泥臭くて、若者にお説教しちゃうような人間味あふれる棋士も素敵ですね。

特別に選ばれしトップ棋士だけでなく、下層で戦うファイターたちの執念や熱い想い、その戦いっぷりに改めて敬意を表したいと思った第9話でした。

10話の感想

贈られたもの(1)

忘れ物を取りに来た香子さんを外で待たせていた零。意地悪くねちねちと対戦相手の安井さんのことを告げてくる香子に不快感を覚えながら、それでも香子を拒めない零の複雑な心境が切なくて辛いです。

あんな香子さんでも零にとっては一時は一緒に暮らした家族。嵐のような激しさでかき乱してくる、あんなにも危うくて美しい香子さんという女性は、零にとっては強さと脆さの象徴のような人だったのではないでしょうか。

嫌味を言われても、それでも香子の声を聴いていたいと願う零。かつて失ってしまった家族への強い憧憬の念の表れでもあるのでしょう。

贈られたもの(2)

クリスマス前の対戦相手は安井さん。負けては飲んで荒れるということを繰り返し、とうとう離婚が決まったようです。

実際にも、試合で負けて荒れる人というのはいそうですね。勝負の世界に生きる棋士という職業と私生活の家庭のバランスを上手くとっていけない人もいるのかもしれません。

案の定、ミスをしてからは早々に諦めて帰っていく安井さん。零はそんな安井さんに苦々しい気持ちで公園でひとり叫びます。

対戦相手が勉強をしていないことが分かってしまうのがプロ棋士。零だって自分の人生をかけて戦っている。それは皆同じ。ひとたび試合が始まれば、勝ちへ情熱や執念を見せるのは誰しも同じこと。

絶叫する零が孤独なファイターであること、普段は隠されたその胸中を露わにする姿が胸を打ちました。

棋士といえども色んな人がいる。零のようなエリートもいれば、9話の松永さんのような人もいる。そして安井さんのような人も。

戦う理由を探しながら苦い経験を経て成長していく零の姿を見ていると、選んだ道をどんなふうに突き進むのか、その覚悟を私たちも問われているようで背筋が伸びました。

11話の感想

ゆく年

安井さんとの年内最後の試合を終えたあと、気が抜けたのかひどい風邪を引いてしまった零。連絡がつかないことを心配したあかり達3姉妹によって川本家に連れ去られて看病をしてもらうことになります。

人間関係が希薄な零ちゃんなので、こういう時に頼る人がいるのは心強いですね。性格上簡単に「助けて」と言えないでしょうから、こうやって多少強引にでも温かく関わってくれるあかりさん達がいてくれて良かったです。

そんなあかりの方も、母親と祖母を失ってからたったひとりで片づけをする年越しを実は不安に思っていたのでした。

あかりさんにとっても零がいてくれることが支えになっているようで、もちつもたれつ、人間関係の基本ってそうだよね…としんみり。

零の義理のお父さんも本当に零を心配していたし、思っている以上に零ちゃんは人に恵まれているかもしれません。

くる年

明るくて元気で友達もたくさんいそうなひなた。年賀状もたくさん届いてとても嬉しそうです。

零の家に年賀状を取りに行って、申し訳なさそうに帰ってくる姿がかわいかったな。零に2枚しか年賀状が届いてなかったという事実に目を合わせられないとか、素直でかわいくて心優しきひなちゃんが愛しいです。

たった2枚の神宮寺会長と二海堂からの年賀状は案の定つっこみどころ満載でした。神宮寺会長もアニメに出てくるのが待ち遠しいですね。

年始に川本家にやってきて、零にまでお年玉をくれる美咲おばさま。あかりをお店で働かせるのは美咲おばさまなりの考えがあってのことでした。

このままモモちゃんやひなちゃんの母親として、あかりさんを家に閉じ込めていくのはあまり良くないという美咲おばさんの意見には大いに賛成したいところです。

良く考えてみたらまだ作中では零と3姉妹は知り合ったばかり。なのにもうずっと一緒にいるような雰囲気なのは、昭和を感じさせる古き良き川本家のたたずまいがそうさせるのか。

12月末の年内最後の放送にふさわしい、あったかくて心がほっこりする11話でした。

2クール目の新OPと新ED

12話2クール目に入ってOPとEDが新バージョンになりました。OPはYUKIさんの「さよならバイスタンダー」EDは米津玄師さんの「orion」です。

12話の感想

対岸にあるもの

にぎやかな川本家を離れて自宅に戻った零。ふと寂しくなって歩いて気を紛らわせようとします。

年齢に対して小金持ちのはずなのに、いまだにミカン箱を机の代わりにしているから余計に孤独を感じるんだよー!と関係のないことを思わずつっこみたくなるくらい殺風景な部屋です。

今後あの部屋が、もう少しあったかみのある部屋になっていくといいのですが。

そして迎えた獅子王戦のトーナメント初戦。いろんな意味で寒いけど強い辻井武史九段に、なんとか勝利した零。お隣で対局していたスミスさんも勝利しました。

あんな風に対局中に寒いダジャレを言ってもいいんですね。対局中は当然逃げられないから対戦相手としてはいたたまれなくなりそうです。

こんな個性的なキャラなのに恐ろしく強くてイケメンというのもミソ。しかも声がイケボ(CV中村悠一)です。アニメってすごい。

黒い河(1)

買ってホッとしていたら、出たー!後藤さん。

この人がラスボスでもおかしくないんじゃないかしらと思うくらいのド迫力。香子さんの片思いの相手にして妻帯者です。

神宮司会長も出てきて、零に大量の魚を押し付け…お土産として持たせてくれました。

迷惑かなとおそるおそる川本家に持っていく零に、あかりさんが大喜びだったのが救いです。

一人暮らしに魚40匹とかは確かにつらい。魚をさばいてくれる人を紹介してほしいという横溝さんが大正解でしょう。

モモちゃんのかわいらしさに癒され、温かい卵かけご飯が食べたくなる12話でした。

次はとうとう島田さんが登場です。

13話の感想

黒い河(2)

ん?前回のラストの零が川本姉妹に試合に勝つとかっこよく宣言したシーンからスタート。

あんなにかわいらしくモモちゃんにくっつかれても帰って勉強するという零の鋼のメンタルがすごい。

ダメ社会人の私ならあんなふうに甘えられたらうっかり川本家に泊まってしまいそう。

いっぽう後藤と対戦が決まったスミスさん。朝起きてからのあの長い尺をとっての曲や朝食風景って何かのオマージュなんでしょうか?

軽さを武器にするも後藤の重たい一撃に沈んでしまったスミスさんの、イチゴちゃんとの出会いにちょっと癒されました。

10年後、後藤とはまた違うタイプのいい男になるスミスさんを想像してしまいました。

扉の向こう

零のほうは、島田さんを倒して後藤と戦う気満々で肩に力が入った状態で対局を迎えました。

勝つ将棋ではなく負けない将棋をさす島田さんを苦手に感じる零。もはや気持ちはここにはない状態で盤を見つめています。

対局前に「桐山の頭をかち割ってほしい」と二海堂に頼まれていた島田さん。視野が狭くなっている零に対して静かな風を通すように対局で向き合います。

攻めているはずなのにいつの間にか追いつめられていた零。そこでようやく顔をあげ対局相手の島田さんを見ました。

島田さん、はじめて話してくれましたが渋くていい声ですね。苦労性ならではの若干かすれた三木さんボイスがぴったりです。

弟弟子の二海堂に対して零にとっても、この人の存在が棋士として大きな影響を与えるにふさわしい強さも感じさせる声でした。

外見は後藤と正反対のひょろっとした感じですが、島田さんと後藤は同い年なんですよね。お互いに実力は認めあっている関係です。

川本3姉妹とのほのぼのから、島田さんが出てきたことで、ここからまた将棋の世界にシフトされていきそうです。

14話の感想

まぶしい闇

島田さんを甘く見ていたことに気づかされて真っ赤になって走り去る零。

それを上から見ていたスミスさんと島田さんの視線が優しかったです。誰しも同じような経験を経て今があるわけです。

零も今のうちにたくさんん恥をかいて大人になっていくことでしょう。それを温かい目で見守ってくれている先輩棋士がいるのは幸せなこと。

島田さんは研究会にも声をかけてくれるようです。スミスさんのいちごちゃん愛が想像以上におもしろくて重かったです(笑)

ほんの少しの水

落ち込み方までヘタな零。

なんとか高校だけは卒業したいと思って学校へ行ってみても、いきなりの体育でバスケという高いハードルにいっそう凹んでしまいます。

休みがちで自分から人に声をかけられない性格となると、クラスで友達を作るのも一苦労でしょう。

大人になればもう泣かずにすむと思っていた…とひとりぼっちで泣いているところへタイミング良く(悪く?)林田先生がやってきました。

転職雑誌を見て泣いている17歳。一見滑稽な組み合わせですが本人は至って本気で悩んでいます。

そんな零に、落ち込んでいる時には温かいものを食べろと自分のカップ麺をくれる林田先生。

「でも」ばかり言う零に叱咤激励を飛ばしたり、支えになってくれたりと、林田先生は教師の鏡のような人でした。

さあ、零は自分から島田さんに研究会に入れてほしいと言えるでしょうか。

15話の感想

月光

中学生のころ、月の光に照らされて窓からたびたび零の部屋に忍び込んできていた香子。将棋の事しか考えていない父親と零に、寂しさを感じながら生きてきました。

自分の足で立たなければ大事な人を守れないと感じた零は、香子のそばを離れる決意を固め家を出ました。

離れていく零はまるで自分から逃げるようで、香子は零に捨てられたと感じたのでしょう。

言葉にできない気持ちを抱えたまま、離れ離れになった義理の姉弟。

なかなか難しい関係ですね。恋愛感情とも違うし家族への愛ともまた違う。愛憎に満ちた関係に息苦しさを覚えていたのは、お互い様だったんじゃないかな。

自我のカタマリ

川本家になかなか顔を出さない零のことを話す三月堂のおじいちゃんたち。

零がひなた達にかっこつけたのに勝負に勝てなかったことで、おじいちゃんたちは若かりし日のあれこれを思い出して顔が真っ赤になっています(笑)

失敗したということは挑戦したということ。仕事でかいた恥は仕事で取り返すしかない。

どんな世界でも第一線で戦っている人間で恥をかいたことのない人なんていない。おじいちゃんの言葉が身に沁みます。。。

いっぽう島田さんと後藤の勝負はガチンコ勝負となりました。A級の本気におののく棋士たちが愉快です。

島田さんと後藤の対等な関係もかっこよかったですね。この2人は同い年に見えませんが、どちらも実年齢より上に見えます(笑)

林田先生の零ちゃんへの優しさに感動…からの痛恨の出席日数の計算ミス!(笑)2年の留年はつらいですよね、さすがに。

16話の感想

夜を駆ける

放課後理科クラブ、略して放科部で実験のお世話になる零&林田先生。野口先輩が初登場しました!ザ・いい先輩です。

野口先輩たちとの関わりは、零にとってははじめての経験だったでしょう。勝負の世界で戦う棋士の顔とはまた違った普通の17歳らしさが見えてかわいかったです。

零が同世代の高校生と笑ってコミュニケーションをとっているのが嬉しい林田先生は、やっぱりとても生徒想いの先生なんだなと思いました。

ひとりではどうにもならないことも誰かと一緒ならクリアできる問題はたくさんあります。

そうやって力を借りたら次は相手が困っている時に力を貸してあげるといい。世界はそうやって回っている。

ひとりじゃどうにもならなくなったら誰かに頼れ。でないと実は誰もお前にも頼れないんだ。

先生の言葉にふと川本家を思い浮かべ、いつも遠慮してばかりで実はこれまでに頼りにされたことがあったかと自分のことをふりかえる零。林田先生の言葉は今の零には響く言葉となったようです。

生徒の背中をそっと押したり助けたり優しく見守ってくれる林田先生。つくづく人間としても優れた人なんだなと思いました。

坂の途中

島田さんの研究会に入れてくださいと自分から言い出すことができた零。

研究会に参加するのは初めて。島田さんとは奨励会からの同期の重田くんと二海堂という濃いメンバーも揃っています。

将棋の事となるとみんなが熱くなっているのが、なかなか見ごたえがありますね。島田さんは心労が重なって胃薬が手放せなくなりそうですが(笑)

二海堂との帰り道で川に沈んだ鳥に慌てて調べるとか、すっかり仲良しな2人にほっこりしました。

17話の感想

銀の糸

島田と宗谷名人との対局の前夜祭。零と二海堂は島田さんの手伝いに行くことになりました。

二海堂の「いつか自分もここで試合をする」というまっすぐで迷いのない姿勢に圧倒される零。

島田さんを気遣う二海堂の優しさと思いやりに、二海堂って本当にいい男だなと思いました。

神宮司会長が出てきてノリノリで思わず笑ってしまいそうに。この明るさが今の将棋界をひっぱってくれているんですね。

水面

宗谷名人とホテルの庭で偶然会った零は、その静かな佇まいに違和感を覚えます。

ずっと変わらぬ容貌やその圧倒的な強さから「人ではない」「悪魔」などと言われている宗谷さん。

島田さんはこの人と戦うにあたって、白星をまず2つ取らないと6局目の故郷の対局にたどり着けません。

第1局目が終わって香子に呼び出され口げんかをする零ですが、そこを川本3姉妹に見られてしまいました!

差し入れのいなり寿司を持っていく途中で香子と零の険悪そうな様子を見て、なんだかムカムカするひなた。

ちょっとこのあたりでフラグが立ち始めた感じですかね。

青い夜の底

あかりさんの手作りのおいなりさんが美味しそうでやっぱり飯テロでした。

香子とは姉弟にも他人にもなれない中途半端な関係でしかいられない零。

家を出て離れたのに突き放すこともできないのは、零の優しさかなのか弱さなのか…。

いっぽうC1に昇級した二海堂。これで零と来期は同じクラスで戦えると嬉しそうです。零も心なしか喜んでいる様子です。

1年遅れで高2への進級が決まった零は、何も変わらないまま18歳になろうとしていました。

掃除当番という青春ワードが懐かしかったです。

18話の感想

奔流

島田さんの家での研究会で、二海堂と重田の言い争いに巻き込まれる(?)零。昔の対局のある局面に対して「気持ち悪い」となんとなく言葉にできずにいます。

言語中枢を刺激してやろうか?と島田さんのサボテンを持ち出す重田は二海堂を「小龍包」とか言ってます。分かる!(笑)

島田さんとの研究会で消耗する零ですが、A級の思考回路にずっとぶつかって、自分も何か差し出せるものがないといけないと考えていました。

島田さんは何とか勝って、故郷の山形で行われる対局まで行きたいと思っているんですね。

故郷に錦を飾りたい。何もなくなろうとしている、自分の生まれ故郷に。

タイトルを獲れば、今もずっと応援してくれている山県の人たちに恩返しができる。

言葉にはせずとも島田さんの気持ちが痛いほど伝わってきました。

経る時

高校1年生を終えて無事に2年生に進級することができた零。林田先生の温かい言葉にこちらもつられてうるうる。林田先生、本当にいい先生だなあ。

野口先輩と橋渡しをしてくれたり試験について教えてくれたり、担任として随分と零の力になってくれました。

零も仕事しながら学校にも通って家事もして、17歳なのによく頑張りました。

あのあと、ネズミーランドはないと思いますがおでんを食べに連れて行ってもらったのかな。

ひなちゃんに、香子さんとのことを聞かれて慌てる零。

ひなちゃんはお姉さんだと聞いて安心していますが、あかりさんはだったらもっとダメだわと青くなります。

零の香子さんへの微妙な気持ちを感じとっているのは、この時点であかりさんだけでしょうね…。

ところでリスポッケ先生のオマージュ(?)には思わずニヤッとしてしまいました。

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